最後まで信じて

カノミナミ2018年4月13日

先週から新しいプログラムでトレーニングをしています。今週ももう金曜日が終わろうとしています。
先週から二週間、今週までフィジカルの強化期間でした。
開始二日目はこれが二週間も続くのか、とかなり遠いことのように感じましたが気づけば終わっていました。

フェンシングは全くしていません。
フェンシングの体力はフェンシングでしかつきませんが、基本的な体力は落とさないようにしなければいけないと、アメリカの大会後、強く思いました。
しかしフェンシングでつく体力を他のトレーニングで強化しようと思うとこんなに大変なのかと感じます。
中学時代は陸上部で毎日走っていました。
その時は陸上の体力がフェンシングに活かされている実感がなく、夏は駅伝の練習に前日に練習に行きたくなさすぎて泣いたこともありました笑
しかし走らなくなった今になってみると、中学時代に走ったことで基礎体力や瞬発力などが身につき、かなり精神的にも鍛えられたと思っています。
久しぶりにダッシュをすると次の日に身体のいつもは使わないところが痛くなったり、自分のイメージと懸け離れた走りになっていたりとたくさんの発見があったと同時に頭は覚えていても身体は作っておかないと動かないということを実感させられました。
今は恥ずかしくて”陸上部でした”なんて言えません、、、。

もちろんイメージは大事ですがいつでもイメージ通りに動ける身体に作っておくことが本当に重要であると感じます。
しかしフェンシングをする身体をフェンシング以外の動きで強化するとなるとかなり体力的に大変です。
もともとフェンシングは持久力、瞬発力の組み合わせ、上半身、下半身のコーディネートなど様々な要素の組み合わせで成り立ちます。フェンシングの実践練習をすれば一気にそれらの練習をすることができますが、それをばらばらにやろうとするとかなり大変です。

今は怪我をして原因もまだはっきりせず、いつから何ができるのか、一寸先は闇状態ですが、補欠選手のようにいつ出番が来ても100%の状態でいられるように最大限努力していきたいと思います。

自分の希望や感情抜きにして今の状況を客観的に見たら復帰できるかも分からないし、復帰してもパフォーマンスが戻るかも分かりません。
しかしそんな状況の中で私は本人だし、自分の人生なので希望を持って努力をすることは当然ですが、コーチも時間を割いて練習に付き合ってくれたり、たくさんの人が私よりも私を信じて応援してくださることが私の背中を本当に前に前に押してくれています。

実力主義で弱い選手は切り捨てられるという冷たく厳しく見えるスポーツ界ですが、一方でスポーツがオリンピックなどで多くの人の心を揺さぶる熱いものでもあるというのは、こうして本人一人でやるものではなく、多くの人が理屈や現実を抜きにして、希望やそれぞれの願い、理想をその選手に託していくことがスポーツを価値あるものにしているのではないかと感じます。
また、選手自身も多くの人の夢や希望を感じることによって自分を信じることができるし、信じてやってみよう、と思えるのではないかと感じます。

私は今までたくさんの応援、声援は頂いてたけれど、ピストに立って戦って、表彰台に立つことは結局私一人でやることだと思っていました。

しかしそうではなく、私を信じてここまで持ち上げてくれた多くの人の期待や夢を私が代表して持ち、その場所に立っているのだということ感じました。
私一人ではいくら背伸びして頑張っても限界があります。しかし、下で私をサポートし、応援して、最後まで信じて下さる多くの方が大きな山となってここまで私を高く高く持ち上げてくれていたのだなと感じるようになりました。

怪我をして先が真っ暗になった時、何を言われてもどうでも良かったし、どうせ何も分からないだろうと聞く耳を持たず、絶対一人でなんとかしてやる、と誰にも頼らない、と半分意地になっていましたが、そうすればするほど冷たく厳しい世界に飲み込まれて、いつ切り捨てられるのだろうかという恐怖に圧迫されるばかりでした。

しかし耳を開いて素直に受け入れるようになったら希望は少なからず見つけられたし、まだまだできることがたくさんあると目も開けました。

本当にこの冷たく厳しい世界と一人で戦うことは不可能です。
スポーツが多くの人を熱くさせ、素晴らしいものであると思わせるのは選手の存在ではなくてそこに込められた多くの人の希望や夢、人情であって、この冷酷な世界を熱く希望に感じさせる世界に選手と共に変化させてきた多くの人の過程なのではないかと思います。

自分がただスポーツを自分のためだけにやっているのではないと感じたし、こうして目に見えないものを大きく動かすことができるスポーツの力の可能性を実感しました。
”スポーツの力”という言葉は正直綺麗事だと思っていましたが本当に力があるんだなとしみじみ感じました。

こんなわけで今できることをまずは自分を最後まで信じて前向きにやっていこうと思います。
怪我をして様々感じることがあります。
今しか感じられないことをたくさん感じて考えて自分の経験とし、財産にしていければいいなと思います。

本当にいつも応援ありがとうございます。
私を私よりも信じてくださり、期待してくださり、ありがとうございます。
私もたくさんの人の希望や夢を届けられる選手になりたいと思います!