全日本に向けて

カノミナミ2020年8月23日

全日本選手権が9月に開催されるということは2ヶ月ほど前から発表されていました。
その形式はベスト32から予選なしで、トーナメントだけ行うというもの。
国内ランキングの32名しか出場できません。
それでもワールドカップもいつ再開されるか分からず、次の試合もいつ開催されるか分からない中で、開催されることに感謝して、全日本を目標に練習しています。
しかし今週急遽32人の出場枠が16人になりました。
私はなんとか国内ランキングが9位だったので、それでも出場できますが、大会まで1ヶ月を切った今、それが発表されることは本当に酷であり、マイナースポーツからの脱却と言いながら、大会直前に突然変更するのはフェンシングはマイナースポーツだからオッケーと暗に言っているように聞こえました。

世の中でも様々な大会が中止になっている中で、フェンシング は全日本をやる、と決まり、数は限られてしまいましたが、出場権を得た32人の選手は本当にまずはこの大会を目標に頑張っていたと思います。
もし、私が去年のように怪我から復帰したばかりで国内ランキングがなく、32位以上16位以下の選手だったら本当に絶望だし、正直全日本の”ぜ”の字ですら聞きたくも見たくもなくなると思います。
持ち上げられて落とされた気分は本当に味わったことがある人しか分からないと思います。
コロナ渦の中で毎日状況がいろいろ変わっていくのは分かります。しかし一度やると言ったのなら責任を持ってそうすべきだし、フェンシングを普及させたり、イメージアップをしていきたいのなら選手に対してまず全力で誠意を見せるべきなのではないかと私個人は思いました。
世間向けにいろいろな取り組みをしていてもこうして試合1ヶ月前に突然切り捨てられた選手たちは一生悔しい思い出として残ると思います。

私もそのような経験が過去にありますが、幼ければ幼いほど、大人のしょうがない、どうしようもなかった、という事情でねじ曲げられたことは忘れることができません。
私はこの年齢になってその時の大人の事情が理解できたとしても、やはりその時はその時、思い出すと今でも悔しくて、腹立たしく思うことがあります。

ただ決まったことは決まったこと、誰が何と言おうと、いくら突然出れなくなった選手が涙で訴えようとこれが変わらないということも知っています。

私は出場できる一選手として自分がやるべきことをやろうと思います。
試合に出たくても出れなかった選手、悔しくて、腹立たしくて、どうしようもない選手、そういう思いが強い人ほど本当にフェンシングが好きな選手なんだと思います。どんなにやらせない思いをしていたとしてもすぐにまたフェンシングの練習をしていると思います。
私はその出れなかった選手の分まで頑張る、とかそういうことではなくて、(もし私が出れなくなった身だったらそんなの余計なお世話じゃ!と思ってしまいます。)私は私のやるべきことを全力でやるべきだと思っています。
フェンシングが本当に好きで強くなりたくて、でも出場出来なかった選手たちは悔しくてもおそらく気になって全日本のライブ中継を見ると思います。
だからこそ見ている選手たちが見応えのある試合をしなければ、と思います。
全日本とは言いながらも16人しか出場しないし、ランキングにも反映されないので大会的には重要度は高くありません。
でも出場できる選手は本当に貴重な機会だと思って感謝して絶対に手を抜かず、自分の限界まで力を出し切るいい試合をしなければならないと思います。そうしてこそ見ている選手たちがよし、この選手に勝つぞと、また力を出して頑張るきっかけになると信じています。
この全日本に出られなかったということは選手にとっては本当に大きな傷になると思いますが、それでもまだまだフェンシング人生は長いから早く立ち直ってまた力強く頑張らなければいけません。
悔しさをバネに、とは言われるけど自分でどうしようもないことは正直そうやってすぐに切り替えられる話ではないし、本当にやらせなくて、全てが無意味に感じ、力が湧かなくなります。
その気持ちが本当に痛いほどよくわかるから試合を見て少しでも力を出すきっかけになってもらえたらと心から心から願っています。

国内ランキング上位16人の選手、出場できる選手がすべきことは今できるパフォーマンスを全て出し切ること、誰がみても痺れる試合だった、と言ってもらうことだ思います。
そうしてこそまたフェンシングが大好きな選手たちはこの選手に勝つためにはどうしたらいいのか、この技を真似してみよう、とかそうやって少しずつでも力をもらえるんじゃないかと思います。

見ている人に力を与えるとか、そういう大それたことは言えないけれども、私がする試合で力をもらったりまた頑張ろう、と思ってもらえたら嬉しいな、といつも思っています。
結局いつもやるべきことはベストなパフォーマンスをすることと最後まで諦めないで戦うこと、そして今自分がいる位置が貴重であることを忘れないで感謝しながら常に今の位置に留まらず上を目指し続けることなんだと思います。
見てくれる人は見てくれているし、感じてくれる人は感じてくれます。
不思議ですが、本当に真心と信念をもってやったとき、その思いが試合を通してフェンシングを通して見る人に伝わります。
私がやっていても、また他の試合を見ていてもそれを感じるので、私も全日本は今まで書いたような思い、フェンシングができる喜びをもって、そしていつも気にかけてくださり、応援して下さり、支援してくださる会社の方々、スポンサーの方々、コーチや友人に感謝の気持ちをもって、勝ちました!!!と笑顔で報告ができるように全力で頑張りたいと思います。

全日本はインターネットのライブで配信されるので、このウェブサイトで応援してくださっている方々にも今まで以上に見て頂けるのではないかと思っています。
まだ詳しい配信方法は出ていませんが、発表され次第ご報告致します。

正直、私も久しぶりの試合でどうなるか不安な気持ちもありますが、とにかく今まで積み上げてきたものを出し切れるように、そして、強い気持ちをもって臨みたいと思います。

引き続きご支援ご声援よろしくお願いします!