遅くなりました!メキシコ報告

カノミナミ2015年10月28日

 だいぶ遅くなってしまいましたが、まずはカンクンから!

 まず初戦となったサテライト大会はベスト16という結果でした。サテライト大会はワールドカップで上位に食い込むような主要な選手はあまり出ない少し小さい大会です。しかし、ベスト4に入れば世界ランクのポイントが入るので気の抜けない大会でした。

 今シーズン初の試合で少し緊張と実力試しのつもりで臨みました。予選は「3勝2敗」と全勝できると践んでいただけに少し期待外れの結果でした。しかし、トーナメントで勝てばいいので切り替えてトーナメントに臨みました。

 一回戦はカナダの左利きの選手でした。もともと左利きの選手を苦手としている私は少し不安はありましたが、克服のチャンスだと思い(予選の上りも私より下の相手だったので)いろいろ試してみるつもりで試合に入りました。しかし、思ったよりもやりづらく、前半は自分のミスと苦手意識が目立ち競ってシーソーゲームになりました。二セット目、三セット目になるとだんだんわかってきて連続ポイントを重ねることができ、最終的には15−6というスコアで勝つことができました。

 二回戦は序盤から流れをつかめてそのまま楽勝できるかと思ったら、後半から相手にまくられ前半の貯金がなければ危ない試合でした。

 三回戦はよくジュニアのワールドカップでも試合をするポーランドの選手でした。同世代ということだけに負けたくないという思いは強かったのですが、序盤で点数を取られすぎ後半で巻き返したのですが間に合わず、逃げ切られてしまいました。しかし、試合終了後反省をした時に「前半の大量に失点した時と後半の巻き返しをした時の構えも戦術も全く違う」とコーチに指摘され、自分でも見直して自分の感覚と照らし合わせてみると、後半の方が相手の動きも見えたし得意としているアタックの準備動作にスムーズに入れてアタックを思いっきり打てたな、という感じがありました。

 練習では気づけない感覚の違いを、ワールドカップというリオがかかった試合で負けてから気付くのではなく、サテライトで気づくことができて不幸中の幸いだなと思いました。もちろん負けたことは悔しかったし、序盤の早い段階でそれに気づけていれば勝てたかもしれないと思うと悔いは残りましたが、負けなければ気づかなかったかもしれないと思うと、それはそれで怖いことだなと思いかなり複雑な心境にはなりました。

 でも負けた試合に対して、”こうすれば勝てたかも、という後悔はするだけ無駄だ”と今までの試合で十分感じてきていたので、一瞬後悔してすぐにワールドカップに切り替えました。

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 さて、ワールドカップは日本人選手の中で私だけ11時スタート(他の選手は9時試合開始)だったため、朝食をゆっくり食べて部屋で音楽をガンガン鳴らして聴きながら、かなりリラックスしていました。いつも私は9時スタートが多いのですが、おそらく初めての11時スタートで”11時スタートってコンディションを整えやすいな”と感じました。また、試合会場もホテル内だったのでアップ直前まで部屋でゆっくりできるという環境にも恵まれていました。

 予選は「4勝2敗」。

 一発目の試合でポーランドの選手(サテライトで負けた選手ではない)に5−0と為す術もなく瞬殺されてしまいました。前に一度競り負けた相手だっただけに悔しさというよりも”なんで”という疑問と”自分は弱くなったのかもしれない”という考えしか浮かばず、解決策を見つけることができませんでした。

 そんな不安を持ったまま二試合目。格下の相手でしたが自分のミスで最初に点を取られ、勝手にテンパって、ものすごく力んでめちゃくちゃな試合をしてしまいました。なんとか勝てましたが、この相手には勝たないとまずいという思いが全面にでたことと、最初の試合で瞬殺されたことでかなり動揺していたみたいで(自覚はないけど)自分で自分をコントロールできなくなっていました。

 ですが、ここで1勝できたことでだいぶ落ちつき、次の試合、その次の試合と前の2試合よりは落ち着いてできました。中国の選手に5−4で負けてしまった時は、かなり落ち着いて、我慢して我慢して試合をして、いい流れを作っていたのですがその流れをものにできず、最後は迷いと左利きの選手に対する悪い癖が出るという悪い要素のダブルパンチで見事にやられてしまいました。

 フェンシングの試合において、流れというものは時に実力差に関係なく番狂わせを起こす大きな要素になり、試合において重要な役目を果たします。その流れを作りつかむためには”一発自分の決めた技で勝負をかける勇気、度胸と経験が必要だ”と言われています。この試合において私は勇気を持つべきところで迷ってしまい、やられてしまいました。これを自分の経験としてしっかり取り込み成長できるようにしたいと思います。

 ということで、4勝2敗で予選を終えたので初日ベスト64がけがありました。

 シンガポールの選手で身長が大きく左利きの選手、尚且つサテライトの予選で負けた選手でした。ここではさすがに負けられないと思い臨んだものの、序盤に大量得点を許すという悪い癖と左に対する苦手意識が重なり全く自分のペースに持ち込めませんでした。2セット目に入ってようやく流れをつかめ一気にまくりましたが、その流れのまま取り切ろうと思って一発、勝負をかけたら見事にそれが外れ、流れががらんと変わり相手のペースになってしまいました。12−12まで追いつかれ軽くパニックになりつつ試合をしていましたが、相手も流れがあって、おそらく相手も一発、勝負をかけたのだと思います。それもまた見事に外れまた私の流れになり、14−12。そこで相手の振った剣が私の踝に当たり、私は痛みで動けなくなってしまいそこで10分の休憩を取ることになりました。ドクターに棄権したほうがいいと言われましたが、あと1点でベスト64に入りポイントになると考えると足を引きずってでも試合をしなければと思い試合を再開しました。そこから1点取られ13−14。もうここで取られたら負けると思いました。最後は我慢してじりじり時間をかけて試合をして落ち着いて1点を取り勝つことができました。もちろんその日は歩くことができずアイシングをして安静にしていました。改めて当たりどころが悪いと痛いスポーツだなと感じました笑

 2日目の初戦、ベスト32がけはまた違うポーランドの選手で、この選手にはポーランド(グダニスク)のワールドカップで一度ベスト16がけで負けている選手だったので、リベンジをかけての試合でした。前半からずっとシーソーゲームで私も緊張からかいつも通りの剣操作ができず、ついてれば勝ちというポイントばかりでした。この試合に勝てたのはもう技術ではなく勢いで勝った感じがあるので、ある意味奇跡だったなと思います。

 そして未だ嘗て一度も入ったことのないベスト16がけ。相手はフェンシング界最年長の41歳、イタリアのVEZZALI選手とでした。この選手はオリンピック5大会連続メダル獲得、そのうち3連覇をしているフェンシング界では知らない人のいない伝説の選手です。

 余談ですが、イタリアに行った際タクシーで運転手さんに”なんのスポーツやってるの?”と聞かれて”フェンシング”と答えても伝わらないのに、”バレンティーナ・ヴェッザーリ”というと、なんのスポーツかが伝わるというほどイタリアでは有名な選手です。笑

 で、その選手との試合ですが、やはり序盤で7対1と大きく離されてしまいなかなか自分のペースに持ち込めませんでした。休憩を挟んで2セット目からようやく相手の狙い目がわかり追い上げましたが、女王はそう簡単に追いつかせてくれず13−10というスコアで負けてしまいました。

 試合のあとに”勝てるチャンスはあったな”という悔いが残る一方、いつもいつも”もう少しで勝てたと負けてから言っている”ことを思い返すと、そこで勝ちきれないのが自分の弱みで今のリアルな実力なのだと痛感させられました。

 ”もう少し”は多分もう少しではなくて”今の限界”であることを自分で認めなければ成長しないなとも感じました。結果に対して謙虚に向き合い、今の世界での自分の位置というものを客観的に見る必要があり、精神面での強化も必要であることを今回の遠征で強く感じました。

 まだまだ世界の壁は分厚くてなかなか壊すことはできないですが、徐々にヒビを入れていって、どこかでガツンと壊したいと思います。今はそのヒビを入れている段階だと思い少しずつ地道にめげずに努力していこうと思います。

 まだまだ未熟ですが、今後も温かく見守ってくださると嬉しいです。

 応援宜しくお願い致します。

追伸 カンクンは今回で二回目ですが、去年と同じホテルでプライベートビーチもあり海もとっても綺麗でした。着いた次に日にみんなで海に入りました!日本では海に行く機会がないのでとても楽しめました!!! ですが2日目からは雨季に入ってしまったみたいで、ずっとゲリラ豪雨ですごい雨でした。残念、、、。でも美味しいブッフェを毎食太らないように気をつけながら程よく楽しみ、快適な旅でしたとさ。おしまい!

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ということで今からドイツ、フランス遠征に行ってきます!

キツキツな報告ですみませんでした!カンカレの報告はドイツに着いたら綴りますねっ!!